農業共済新聞島根版

平成23年11月1週号
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なくそう・生かそう・耕作放棄地

高齢化や米価の低迷などで耕作されず、雑草に覆われた農地。この灸耕作放棄地究が、現在、中山間地を中心に地域の課題となっている。
食料自給率向上の観点から国や県などが水田の利活用を進める中で、この解消を目指している。県内各地で取り組む耕作放棄地の解消や活用事例を紹介する。

市民農園で農地再生
松江市のNPO法人まちづくりネットワーク島根


『1区画が30平方メートル。2つの園地合わせて102区画あります』と話す黒田理事
【島根県東部】後継者不足から荒廃農地となっていた松江市大庭町空山と同市比津町の一画が、現在、週末に多くの利用者でにぎわう市民農園となっている。
 この「大庭空山・比津町まちネット市民農園(約30アール)」を管理・運営するのは、同市古志原の「NPO法人まちづくりネットワーク島根(山本謙理事長=84歳、会員35人)」。2009年6月から県との協働事業として、半ば原野となっていたウメ園などを開墾。ナタネ栽培などを行った後、10年8月に希望者へ貸し出しを始めた。
 「市民農園として再生したのは、ここでの農業体験が新規就農のきっかけになればという思いから」と同法人の黒田謙介理事(64)。同法人では、作物栽培の勉強会や農業体験イベントを定期的に開催するなど、利用者に農業への理解を深めてもらう活動も積極的に行っている。

作物栽培勉強会の様子
 近年、農家が軒並み高齢化し、地域の担い手が減少している。そのため、農地所有者が個人で耕作の請負先を見つけることが難しくなっている。また、農地を市民農園にするには、複雑な行政上の手続きや農園管理が伴い、農家個人ではハードルが高い。「それを私たちが代行、お手伝いすることで農園開設をスムーズにして農地の荒廃防止の一助となりたい」と黒田理事は話す。
増え続ける耕作放棄地を、農家だけでなく地域の課題と捉える活動から生まれた市民農園。農地再生への新たな一歩と期待される。 (岡)

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和牛放牧で一石二鳥
雲南市の中野和牛放牧組合


集落内の耕作放棄地での和牛放牧に取り組む菅野組合長と(右)宮食さん
【出雲広域】高齢化などで稲作農家の減少が続き、耕作放棄地が増えている雲南市三刀屋町中野。そこで、除草作業と牛の飼養管理の軽減を目指して「中野和牛放牧組合(菅野明組合長=63歳、5人)」を設立し、耕作されなくなった水田や畑を活用した和牛放牧に取り組んでいる。
  集落内の雑草管理を検討する中で、2006年に設立された同組合。直ちに耕作放棄地周辺の雑木伐採や電気牧柵の設置などの準備を進め、同年10月に地元農家の和牛2頭を使って放牧を開始した。
 放牧は、放棄地が集落内に点在していることから、草がなくなると次の場所へ移動する形で進められた。その面積は、年々拡大し、現在、約2・5ヘクタール(6カ所)を同組合が導入した和牛3頭で管理している。「雑草管理が和牛の放牧で解消されたことはとても良かった」と菅野組合長。

和牛放牧で雑草管理がされた水田
 放牧中の牛の管理もできるだけ省力化するため、谷周辺や水路を整備。いつでも水が与えられるようにしている。組合員の宮食愛伯さん(70)は「放牧に慣れない牛がいて苦労もしましたが、雑草をきれいに食べてくれるのでとても助かっています」と笑顔で話す。
 また、冬場の粗飼料確保として、組合員の収穫後の稲わらをロール状にして保存。畜産農家の牛ふん堆肥と交換する耕畜連携体制も、同時に進めている。自宅の桑畑を放牧場にする菅野組合長は「集落内の高齢化はさらに進みますが、現状をできるだけ長く続けていけるように努力していきたい」と話している。 (景山)




耕作放棄地を意識してほしい
大田市の石見銀山農協青年連盟


農地に熱い℃vいを持つJA石見銀山青年連盟
【石見】大田市内の青年農業者でつくる、JA石見銀山青年連盟(宅和健連盟長=42歳、メンバー19人)の農地に対する思いは、人一倍強い。近年、高齢化などで耕作放棄地が増える中、「地元の放棄地を減らしたい」と昨年から、この農地を活用し、作物を栽培する。
 初年度の活動は、"メンバーが集まりやすく、広い道路沿いの目立つ場所"という条件の圃場探しから始まった。借りた耕作放棄地は、15アール。何年も耕作されていないため、土が硬く、トラクターで何度も耕して土を細かくしたという。「一番きついのは、暑い盛りの草刈りですね」と宅和さん。
 その圃場で比較的手間の掛からないサツマイモ「ベニアズマ」を無農薬で栽培。収穫後の土が良好だったことから、急きょ、後作にタマネギも植え付けたという。

サツマイモの収穫に励むメンバー
 この活動を見て「自分の圃場も」という問い合わせがあったが、本業の合間での作業のため、面積を増やすことは難しいという。また、新しいメンバーが増えないことも悩みの種だ。事務局のJA石見銀山農産課の市川雄規さん(24)は「熱い思いで取り組まれています。この活動をPRして耕作放棄地が少しでも減少すれば」と期待する。
 昨年のサツマイモは、地元小学校の「芋ほり体験」として提供し、児童らに喜ばれた。今年は、契約栽培とし全量出荷するという。宅和さんは「来年は何を作付けするかまだ決めていませんが、この畑を見てもらって、みなさんに耕作放棄地を意識してもらいたい」と話している。 (大畑)


休耕田活用のレンコン栽培が特産に
益田市の下道川下集落


収穫を前にほ場を確認する鼠谷清さん
【石西地区】益田市匹見町の下道川下集落では、休耕田(18アール)を利用 してレンコンを栽培する。これは10年前に始まったもので、集落内を走る県道周辺の環境美化がきっかけ。栽培グループ(12戸)の鼠谷清代表(68)は「大豆ではイノシシに荒らされることから、花がきれいなレンコンにしました」と話す。
 しかし栽培では、水田や法面の除草作業、晩秋の冷たい水に浸かっての収穫作業など大変なことが多い。また、栽培経験がなかったことから、最初の2年は、まったく収穫がなかったという。その後、勉強を重ね、町内の道の駅やJAへの出荷にこぎ着けた。今では、集落の特産として大事な収入源となっている。

レンコン体験を行う参加者。泥だらけになりながら一生懸命収穫していた
 同集落のレンコンの特徴は、水にある。生活廃水が入らない清らかな山水を使っている。収穫後、すぐに出荷することでレンコンが軟らかく、味や香りも良いという。道の駅にある日出来屋商店の秀浦和惠さん(75)は「ここのレンコンは人気があり、すぐに売り切れますよ」と笑顔で話す。
 4年前から地域間交流や活性化を目的に、レンコンの収穫体験を実施している。昨年は、町内外の10人ほどが収穫作業に挑戦した。体験の事務局である「ひきみ田舎体験推進協議会」の石橋留美子さん(39)は「地域への思いと団結力が強い集落」と話す。
 環境が整わなければ栽培できないことから規模拡大の予定はないという鼠谷清代表は「今後も集落の美観としてレンコン作りを続け、楽しみに待ってる方々に届けたい」と話している。 (藤井)

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