農業共済新聞島根版

平成27年4月1週号
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米価下落、攻めの経営に光
大田市 農事組合法人「百姓天国」


イチゴ大福とロゴマーク
ロゴマークにはイノシシや虫と共生するという意味も込めた
 【石見】米価下落や直接支払交付金の減額など、米を主力とする農家経営は厳しい。そうした中、米の売上高が法人全体の87%を占める大田市三瓶町野城地区の農事組合法人「百姓天国」(大谷清文代表理事=67歳、16名)では、法人設立8年目の昨年、営業利益が黒字に転換した。消費者のニーズを睨んだ米の販売、加工と多様な経営が注目されている。
 同法人の栽培規模は、水稲(モチ米含む)9.23haと大豆やコンニャクイモなど0.7ha。水稲の栽培で力を入れているのが、レンゲ草のみを元肥にし、化学肥料を一切使わない「三瓶れんげ米」(2.3ha)と、農薬・化学肥料を一切使わない「三瓶甘露米」(0.1ha)だ。
 環境保全型農業にあわせ、標高200m程度にある同地区は、寒暖の差により、毎年一等米の品質を保っているのも、同法人の強み。
 「作ったものをどう売るかを考えるのは面白いですよ」と話す、三島賢三事務局長(64)の言葉どおり、販売方法も工夫する。昨年は、大田市内への新聞折り込みや顧客リストを活用したダイレクトメール、県内スーパーへの販売促進などを実施。米穀店との取引など、新たな販路の開拓を行い、販売するコメの約半分を直接販売とした。
 昨年、同法人の甘露米を販売した株式会社ウシオの牛尾篤志代表取締役専務は、「販売価格は他の米と比べて2、3倍高いですが、安心・安全なお米ということもあり、購入された方が多かったです。今年も店頭での販売を検討しています」と話す。
 「米価が下がることを見越していた」という同法人は、「米に頼らない農業を」と2年前から加工事業に取り組みだした。主な加工品は、餅やコンニャク、いちご大福など。今年2月には、県の6次産業化アドバイザー派遣事業などを活用し、百姓天国のロゴマークを制作。加工品にロゴ入りのシールを貼り、印象をアップさせた。
 三島事務局長は「商品パッケージも、より工夫を加えたい。さらに、料亭や旅館などの販路も獲得していきたいですね」と今後の活動に意欲を見せる。
 今年、甘露米の栽培面積を0.3haまで拡大する予定の同法人。大谷代表理事は「次々と新しいことに挑戦するのは勇気がいりますが、臆せず挑みたい。来年以降も安定した収益が出せるよう、組合員が一丸となって法人運営に取り組みたい」と力強く話す。

取材に応じる大谷代表理事(左)と三島事務局長

餅の袋詰めを行う大谷代表(手前)
と餅についた粉を払う組合員

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